巻頭言

 

変革への戦略的挑戦

盆子原 學


   宇宙からの映像ではブルーと白色の雲の色が大変美しいこの地球号は、人類の立場から見ると今は大きな変動期にあると考えられております。しかし人類も自然の中の一部であり地球の誕生からするとその歴史の中の極一部でしかなく、火の玉の地球からの冷却段階で発生している変動の中での出来事といえます。そういうことを無意識で理解した上で、人類が最適に生き延びようとしているのが、世の中の種々雑多な動きであると考えられます。 従って、最適のものが生き残るという自然のエゴイスティックなルールはどうも世界共通認識と考えられます。世界経済の変節は、大きな目で見ると、共産圏社会の大崩壊による世界の中で偏在した富の分散が起こったための調整段階でしょう。その大きな経済変革の大波に晒されての色々な局面での変動が、世界の国々の保有する技術・経済・地域などの固有のばらつきで変節の現われる時期が少しづつずれを生じていると思えます。
   どのようなスパンで、捉えるかによっては対応は異なるでしょうが、基本的には本質理解と対応策を適切に進めることが王道であり、多くの関連する分野にも良い結果を早く導き出すものと思えます。学会のような組織はやはり明確な方向付けと学会員個人あるいは賛助会員に最適の学術的環境・情報提供・参画機会を提供することにあると考えております。特に、本学会は大学と企業のボランティア関係者が知恵を絞って融合し発足しており、新たな21世紀への展開を予測したような動きとなっております。
   当エレクトロニクス実装学会の関連分野には、大変有望な新技術のベースとなりうる可能性を持った領域が大変多くあります。21世紀の重要研究開発新産業化分野として「IT(情報通信)」「バイオテクノロジ」「ナノテクノロジ」「環境(エネルギー)」が総合科学技術の重要事項として捉えられ、戦略的技術研究・開発・実用化が進められています。
これに対し、会員の皆様からは独創性の高い技術構築・新産業化への挑戦を支援する学会活動への要求があり、情報発信と人材の輩出機会の増大への貢献が必須と考えております。グローバルな戦略的革新への挑戦が、個人・企業・大学だけでなく学会にも必要で、会員増強委員会の設置・その責任者として当学会でも活動強化ができる組織作りを進めたく考えております。会員の皆様からの従来にましたご支援と忌憚のないご意見、ご提案などをいただき当学会の発展に共に邁進したいと祈念いたしております。

本会副会長/技術研究組合 超先端電子技術開発機構電子SI技術研究部部長
「エレクトロニクス実装学会誌(Vol.6、 No.1)」巻頭言より


×閉じる