MES2002開催報告

2002年10月8日~9日
大阪大学コンベンションセンター

MES2002 組織委員会


1.MES2002開催にあたって

   第12回マイクロエレクトロニクスシンポジウム/MES2002は、これまでと同様、関西の地・大阪大学コンベンションセンターにて10月8-9日の2日間、盛大に開催することができました。経済状況はまだまだ厳しい環境にあることには違いなく、当該分野もいわゆる「デバイス/IT不況」の大きな構造的不況からなかなか脱しきれない状況下での開催で、当シンポジウム開催前は投稿論文数、参加人数を危惧せざるを得ない局面もありました。しかし、実際ふたをあけてみると発表論分数112件、招待講演2件、全参加者621名と従来を上回る活況を呈し、このことは、当該分野に寄せる熱い期待と執念が半端なものでない事を改めて認識した次第です。
   私は、社会、生活、ビジネスが大きく変化している時代の要求に応えていくためには、もはや従来の「実装」「組み立て技術」的な領域を超え、技術の枠組みをとりはずし、材料・システム構成・生産技術・設計など幅広い総合的見地からユーザを直視し、それに適応できる技術体系を築いていくこと、また、そのためにはシステムをユーザに対して最適化するための課題の抽出とその解決・実現にあたる旗頭として、今まで常にデバイスと商品の間でアクティブに動いてきた「実装技術者」が大きな役割を果たすことが必要であると感じています。その一環として、当該シンポジウムでは、半導体デバイス、パッケージ・基板・モジュールはもとより、「光」「光/電気融合」「MEMS」「センサー」に関わる新技術、更には「機器/システム実装」「生産技術」「環境技術」なども加え、幅広くユーザーニーズに応えるトータルソリューションを議論できる場をめざしてきました。
   発表内容については、以下、セッションごとに報告がありますが、まさにこのような思いを更に加速するように、各会場では多くの活気あふれる論議がなされ、新世紀の技術・技術体系に向けた序章を描く事ができたのではないかと考えております。
   最後に、共催いただいた大阪大学産業科学研究所(環境調和ナノマテリアル分野)、論文委員・運営委員の方々、また、当日の運営にお力添えをいただいた学生の皆様、そして学会事務局の各位のご尽力に心より感謝申上げます。そして何よりも参加いただいた多くの方々がこの学会で得られたものをベースに日本の技術、製造業復活に向けて大いに活躍されることを期待いたします。
(組織委員長 貫井 孝)

2.会議の概要

1A1 : パッケージ技術Ⅰ
   本セッションでは、バッケージ技術に関連する報告が4件あった。その内訳は、バンプ接合に関する報告が3件、高周波MMICパッケージに関する報告が1件であった。
   1A1-1は、金属接合を用いたCOF実装の検討であり、信頼性確保、応力解析をふまえ、バンプ接合の新規評価法を提案する内容であった。
   1A1-2は、超音波接合と熱圧着プロセスでは、接合メカニズムが異なることを金属学的に明らかにした報告であった。
   1A1-3は、NCPを微量塗布し微細ピッチのバンプを良好な電気特性で接続できる技術の報告であった。この技術は、3次元積層デバイスの開発の重要技術によることが期待される。
   1A1-4は、広域帯で高アイソレーション特性を得られるパッケージ開発に関する報告であった。開発したパッケージは、アルミナセラミクス基板より40dB以上優れるアイソレーション特性が得られており、今後の高周波対応パッケージへの適用が期待される。
 報告は予稿集に含まれる内容を大幅に上まわる資料や写真を駆使した密度の高い充実した発表であった。初日の第1セッションにも関わらず多くの方が聴講に訪れ、パッケージ技術に対する関心の深さを伺わせた。
(日立製作所 天明浩之)

1A2 : パッケージ技術Ⅱ
   パッケージ技術Ⅱのセッションは主に薄いパッケージの開発に関する発表が行われた。前のセッションの最後から、最近注目を集めている、金属板上にビルドアップ工法で高密度多層配線層を形成し、この金属板をエッチングにより除去して、多層で薄く、性能の優れたパッケージを得る技術についての発表がなされた。NECからは2件、薄いパッケージの開発と薄いパッケージを用いてテストし、その後チップも研磨してSiPに組み込む技術が発表された。はんだボールとヴィアの接続部のデザインやコストに関する議論があった。
   また、日立からはセラミック基板を使用したマルチチップパッケージの発表があった。AL-SiCキャップやアンダーフィル、また、予測寿命の普遍性などに関しての質問があった。日立化成、日立金属グループは3層クラッド金属箔を使用した基板の提案があり、これを用いて製作したエッチングバンプを持つ基板(CEB)の有用性が発表された。
   多少、プロジェクターの立ち上げにてこずり、発表順が入れ替わるなどの事態が発生したが、美しい絵でプレゼンテーションが進行した。
(新光電気工業 若林信一)

1A3 : 3次元実装
   3次元実装に関し、フリップチップ実装技術を展開させた技術発表が5件なされた。1件目は実装構造と実装手法に関する発表、2件目はメモリチップの積層に関する発表、3件目は10μm以下のギャップに対する封止技術に関する発表、4件目は実装構造と信頼性に関する発表、5件目はチップ部品搭載搭載可能な3次元モジュールの発表であった。3次元実装はいろいろな形態がとれるため、実装コンセプトとその実現手法が問われる。各発表は随所に工法的工夫が見られ、いずれも実用化の期待度が高い発表であった。
(松下電器産業 小倉 洋)

1B1 : 回路基板Ⅰ
   このセッションでは、微細配線の形成を目的とした表面処理とめっきプロセスに関する4件の発表があった。最初はポリイミド樹脂の表面層に銅ナノ粒子を分散形成することにより、無電解銅めっき皮膜の形成が可能であることが報告された。2件目から4件目は半導体デバイスの銅微細配線形成について発表で、中性無電解銅めっきを用いたビアフィリングにおける予備吸着の影響と老化めっき浴の再生、添加剤の予備吸着を利用する銅電析プロセスおよびバリア・キャップ層を無電解Co系合金めっきにより形成する方法が報告された。これらは全て現行法の有する問題点を改善するための興味のあるプロセスの提案であり、シンポジウム初日の朝一番からのセッションにもかかわらず会場はほぼ満席であった。
(イビデン 榎本 亮)

1B2 : 回路基板Ⅱ
   本セッションでは回路基板の材料および作製技術に関して、多彩な観点からの4件の発表があった。まず、無電解ニッケルめっき皮膜をシード層とするセミアディティブ法においてキーポイントとなるニッケル選択エッチング液に関する報告が行われた。次いで、高速信号に対応した新しい基板材料に関する2件の発表があった。高周波対応の新しい多孔質セラミック基板の提案、およびポリイミド系のコアリスBGA基板による薄型パッケージ基板の提案が行われた。最後に、スルホール形成とその充填を一工程で行う新しいインプラント法による層間接続の技術が提案された。
(大阪市立工業研究所 藤原 裕)

1B3 : MEMS
   今回始めてMEMS(Micro Electro Mechanical System)のセッションを設けた。デバイス関係1件、プローブ開発3件、数値制御プロセス1件の発表があった。北九州市立大学の礒田氏からμ-TAS(トータル分析システム)への適用を目指したマイクロポンプ及びヒータ特性の講演があった。新しい技術分野であるがアプリケーションが徐々に具体化してきている感じを受けた。東大・伊藤先生のフリッティングコンタクトを利用したマイクロマシンプローブカードの講演は、電極表面に損傷を与えない低過重コンタクト実現への期待が持てる。住友電気工業の依田氏からは、LIGAで製作したコンタクトプローブの特性評価結果の発表があった。スクラブ屑の付着による接触抵抗増加のメカニズムをABAQUSで解析し、プローブ形状の設計にフェードバックしている。日立製作所の河野氏はウエハレベル・バーインシステムに使用するプローブをSiの異方性エッチングで実現した。実用化が近い技術である。最後に日立化成の河添氏から数値制御配線技術の新しい応用の紹介があった。数値制御で回路配線基板や光配線基板を形成する技術は従来からやられていたが、今回の講演はあらたに中空細糸を基板内に形成するものである。μ-TASなど分析用途のデバイスへの応用に期待したい。
(東芝 齊藤雅之)

1C1 : 鉛フリーはんだⅠ
   本セッションは、第1日目のトップに設定されたにもかかわらず会場は立ち見が出るほどの盛況であった。発表は鉛フリーはんだ継手の信頼性と機械的特性に関するもので、いずれも接合部界面とはんだの微細組織と関連づけたものであった。
   発表者はいずれも大学院生であり、はつらつとした発表態度は好感が持てた。ただし、テクニカルタームの使用間違いや講演時間を大幅にオーバーするなど問題もあり、共同研究者としての教員各位には指導の徹底をお願いしたいところである。
   いずれも鉛フリーはんだの長期使用時の継手信頼性に関係する現象の詳細な基礎評価結果であり、実用的にも参考になる貴重な研究成果であることから聴衆の興味も高く、活発な質問が得られた。
(大阪大学 竹本 正)

1C2 : 鉛フリーはんだⅡ
   講演は1C1と同じく鉛フリーはんだに関するものであったが、前セッションではこれまでにもよく議論されてきたSn-Ag-Cuとの基材との界面反応に関するものであったのに対し、本セッションでははんだそのものの純化、ウイスカーの発生しないめっき、あるいはダイボンディングのための高温用はんだの開発といった、新しい問題に取り組んだ研究発表がなされた。
   また、はんだとの反応のためフロー槽に事故が生じ、その対策法についての報告もなされた。いずれの講演に対しても活発な質疑応答が行われ、対処法のより詳細な説明を求める質問に加えて、特にこれらはプロセスの最適化だけでは解決できない問題であるため、金属科学的な見地からの考え方に関する討論も行われ、系統的な理解を深めることが出来た。
(大阪大学 上西 啓介)

1C3 : 樹脂接続・アンダーフィル
   このセッションでは、アンダーフィル、導電性接着剤などの樹脂技術に関する発表4件が行われた。前半2件はBGAおよびCSPのアンダーフィル技術で、熱膨張を低減する材料開発と温度サイクル信頼性を詳細な解析とシミュレーションで行ったものである。3件目の発表は、Ag-エポキシ系導電性接着剤でナノ構造化と反応制御技術をもって電気伝導度で10-6Ωcmを達成する興味深い発表になった。最後の発表は、ICパッケージのフィラーがIC接触点に及ぼす悪影響をフィラーの形状を工夫することで軽減する可能性を示し、実用上の指針を与えるものであった。本セッションは、、以上のように樹脂技術に関し幾つかの新技術の方向を与えるものとして、大変興味深い内容を含んでいた。
(大阪大学 菅沼克昭)

2A1 : 低温鉛フリーはんだⅠ
   「低温鉛フリーはんだ実装技術開発プロジェクト」(菅沼ほか)では、2000年8月から2年にわたり実施されたプロジェクトの概要を、耐熱性、高温高湿耐性、マイグレーションを中心に報告した。「Sn-8Zn-3Bi無鉛クリームはんだの連続印刷性の改善と信頼性」(萩尾ほか)では、新規開発したフラックッスによりZnの反応を制御できることを示した。「低融点無鉛はんだペースト(Sn-8Zn-3Bi)の接合信頼性確認と量産導入」(高橋ほか)では、部品電極が鉛を含む場合でも3mm以下の寸法ならば使用できることを示した。「Sn-Zn-Al鉛フリーはんだの接合信頼性」(北嶋ら)では、Sn-Zn-Alはんだが従来の共晶はんだと比べ遜色のない性能をもつことを確認した。
(芝浦工業大学 大塚正久)

2A2 : 低温鉛フリーはんだⅡ
   本セッションではSn-Zn系鉛フリーはんだに関する5件の発表があった。1件目はSn-Zn-Biはんだを用いたチップ部品の狭隣接実装に関するもので、フィレットレス化による150mm間隔実装の可能性が報告された。2件目はSn-Zn-Biはんだを用いたCSP実装に関するもので、Sn-Ag-Cuボールを用いNi/Auめっき処理した場合、高温放置後の接合強度が高いことが報告された。3件目はSn-Zn-BiはんだとCu電極の界面反応に関するのもので、鉛フリーはんだめっきの成分であるAg、Bi、Cu等の界面反応への影響について報告された。界面反応をソルダリング過程と高温保持過程とに分けて、活性化エネルギーからそれぞれの界面反応の律速段階を推定している。4件目と5件目はSn-Znはんだを用いたフローソルダリングに関するもので、4件目では基板の表面処理としてSn-Znレベラ処理が有効であることが報告され、5件目では鉛フリーめっきしたDIPと両面スルーホール基板を用いた場合の界面反応について報告された。低温鉛フリーはんだとしてSn-Zn系はんだの実用化が着実に進んでいることがうかがわれた。
(信州大学 新井 進)

2A3 : 鉛フリーはんだⅢ
   会場からの質議は差程出されなかったものの、このセッションでは革新的な技術報告が2件もあり、充実した講演内容であった。特に2A3-4と2A3-3は独創的なはんだ付け技術であり産業への寄与も期待できるものであった。
(東京大学 細田奈麻絵)

2A4 : 光インタコネクション
   本セッションは期せずして技術研究組合超先端電子技術研究開発機構(ASET)の光インタコネクション研究講演(計6件)の様相を呈した。従来のファイバ許容曲げ半径よりも小さくファイバを曲げて実現するファイバ曲げ直角光コネクタを用いた光バックプレーンの提案とその信頼性評価報告、フォトブリーチングポリマーによる低コスト簡易光導波路作製技術の検討結果報告、自己形成光導波路による無研磨端面(破断状態)ファイバ間無調芯光接続の報告、ならびにアクティブインタポーザによるチップレベル光インタコネクションの検討報告(計3件)が続いた。アクティブインタポーザ関連では、送受信アライメントトレランス検討結果報告、フリップチップ接続による光素子搭載を目指し、貫通電極を用いた光素子の実現とその高周波特性評価結果報告、ならびにボード上に貼り付けたポリマー光導波路を介在させた、送受信アクティブインタポーザ間の光信号伝送評価結果報告と続いた。6件いずれも装置各階層の光化に向け重要となる光インタコネクション技術研究報告であった。
(日本電信電話/小池真司)

2B1 : 高周波電気設計
   本セッションは「高周波電気設計」として4件の発表があった。 1番目の発表は明星大学からでGHz用の伝送線路形状の検討について、高周波成分では適したサイズの伝送線路構造が存在するということについて検証内容と検討結果が発表された。 2番目は低温同時焼成セラミックを用いて平面回路設計を行なう上で必要な材料物性値の推定方法および試作結果の報告が日立製作所から行なわれた。 3番目は日本電気から近接部品配置にともなう電子部品同士の相互干渉の問題についてインダクタをモデルにした実験結果について発表があった。 4番目は三菱電機から数GHz級高速データ通信対応の2000Pinを超えるFC-BGAの伝送特性と給電特性についての検討結果の報告があった。 各発表の後ではそれぞれ専門的な質疑応答が活発に行なわれ、これからの通信等の高周波対応に向けた回路・部品に対する技術開発への関心の高さを伺わせた。
(松下通信工業 江間富世)

2B2 : システムインパッケージ
   本セッションでは、①既存の高周波アナログチップを用いて、チップとパッケージを統合したSIP(System in Package) レベルでの電気特性シミュレーションの事例、②薄型ファインピッチCOC(Chip on Chip) を達成する無電解めっきバンプを採用した低温、低加圧力、フラックスレスはんだ付、NCP接合技術、③エッチングにより形成したバンプを内蔵した基板によるSIP技術の開発、④Si支持体上に形成したキャパシタを基板に内蔵しLSIをその上に実装するパッケージの開発、⑤シリコン基板上のAlSi配線を用いた配線板(インターポーザ) の小型技術の5件の発表があった。参加者から積極的な質疑が出され、活発な討論がなされた。各発表ともに、大変資料が充実していた。これらのデータが論文に反映されていたらと惜しまれた。
(インターナショナルディスプレイテクノロジー 西田秀行)

2B3 : 実装プロセス
   このセッションは1Fの会議室1にて開催され、多くの方が聞くことが出来る様、部屋の後方は机を止め、椅子のみのセッティングを行なっていた。それでも立ち見が出るほど、皆様の関心が高かったセッションであった。5つの論文の内、フリップチップ実装が4点あり、話題が集中したことと、その各々のアプローチ方法や発表形式も異なり、期せずして発表を競い合う様相となったこともあって、参加された方も興味深く聞くことが出来たと思う。
   昨今の物作りが低迷する状況の中で、MES2002シンポジウムの参加が増え、この活況を思うと実装はやはり必要不可欠なものと改めて認識できたセッションであった。
(沖電気工業 江森雄二)

2B4 : 微細配線形成
   本セッションでは、受動部品内蔵も含めた微細配線形成技術に関して4件の報告があった。2B4-1では日立金属からサブトラクティブ法による微細配線形成を目的とした転写用ピーラブル積層箔について、材料、製造方法およびパッケージ試作例の報告があった。2B-4-2では東レエンジニアリングより、ポリイミド上への微細配線形成を目的とした光化学反応による選択的回路形成技術に関する報告があった。2B4-3では日本シイエムケイから、セミアディティブ工法における微細配線とフィルドビアを同時に形成するためのめっきプロセス技術についての報告がなされた。2B4-4ではディー・ティー・サーキット・テクノロジーより、B2it基板中に0603チップ部品を内蔵するためのプロセスおよびIFフィルター、RFフィルターへの応用に関する発表があった。
(日本電気 馬場和宏)

2C1 : ウェットプロセスI ビアフイリング
   シンポジウム二日目の早朝の開始前から、会場には多くの熱心な聴講者が着席していた。会場はほぼ満席で、質疑応答も活発であった。
   発表4件の概要を記す。一番目は、スルファミン酸ニッケルによるビアフイリングあった。抑制剤、促進剤の働きに関する質問が多く出た。二番目は、ビアフイルめっきの実装性評価であった。ビアフイル形状に関する質問が出た。三番目は、ビアホール内銅めっき充てんテープによるFBGAのはんだボール接合信頼性向上であった。金属学上のコメントがあった。四番目は、下面電極型電子部品用銅めっき充てんテープ基材であつた。電流密度分布、スズの組成制御に関する質問があった。以上、実用化に向けた研究が期待される。
(岡山大学 近藤和夫)

2C2 : ウェットプロセスⅡ バンプ形成
   ウエットプロセスによるバンプ形成に関する5件の発表があった。パッケージングを目的としたパルス電解法によるAu-SnおよびCu-In合金めっきに関する発表では、単一成分層および合金層の交互マイクロ積層皮膜および傾斜組成皮膜の作製の可能性が報告された。電析法によるNiバンプの作製に関する発表では、クマリンを添加剤とすることにより高アスペクト比のNiバンプが形成されることが報告された。また、無電解めっきによるNi-Auバンプの形成およびデッィプ方式によるUMB上へのはんだバンプの形成に関する発表では、めっき浴およびプロセスを工夫することにより、微細電極形成の可能性が報告された。SIP、COCの要素技術であるバンプ形成への着実な進展が感じられた。
(甲南大学 縄舟秀美)

2C3 : ウェットプロセスⅢ
        化学処理・無電解めっき
   好天にも恵まれ、最終日ながら、会場はほぼ満員で、途中からは立ち見も出るほどであった。最初は、銅パターンのエッチングに関する基礎的研究の発表であった。地味ではあるが、是非、続けてほしい研究であり、質問も多数あった。続いて、電解還元水を用いたリードフレーム等の洗浄技術の提案に関する発表があった。質問も多数あったが、そのメカニズムについては学術的には疑問が残る印象を受けた。後半は、光触媒的効果を利用した新しい無電解銅めっきプロセスの提案に関する発表で始まった。即実用性というわけにはいくまいが、このような新規性に富む発表がドンドン出てきてほしいと思っている。次に、液晶ポリマーへの無電解銅めっきをするためのエッチング条件やめっき条件の検討に関する発表があり、これに対しては、詳細な実験条件に関するコメントやサジェスチョンがあった。セッション最後は、ノーシアン金めっき液に関する詳細な検討に関する発表であった。錯体の安定性とめっき付き性との関連に関する系統的な解析がなされていたが、実際に製品に適用した場合の今後の検討結果を待ちたい。
   全体的に参加者も多く、活発な質疑応答がなされ、熱のこもったセッションであった。(冷房が効いていなかったら、さぞや暑かっただろう・・・)
(宇都宮大学 吉原佐知雄)

2C4 : ウェットプロセスⅣ
        はんだ接合に対応するめっき技術
   本セッションでは、機器の信頼性に大きな影響を及ぼす、電極用めっき皮膜の製法、性質について合計5件の発表が行われた。最終セッションにも関わらず、最後まで多数の参加者を得て、活発な論議が行われた。最初の発表は、Pbフリー電極としてのSnめっき膜に発生するウイスカーに関するもので、Cu電極とSn膜との間にNiやAgの薄膜を介在させることでウイスカーを抑制できること、およびそのメカニズムを、界面の化合物生成およびSn膜の結晶構造変化から明らかにした(石原薬品/甲南大学)。次に、非シアン系硫酸欲からSn-Ag合金皮膜を析出させるための添加剤が、膜の微構造、組成、はんだぬれ性に及ぼす影響について報告された(信州大学/新光電気工業)。さらに、従来から大きな問題として検討が続けられてきた無電解Ni/Auめっき膜について、(1) 膜表面でNiの酸化反応が起こり易いこと(日本電気/宇都宮大学)、NiとAu界面における水分の存在がはんだ付け性に及ぼす影響(村田製作所)、ならびにSn-Zn系はんだによる接合性(メルテックス/物質・材料研究機構/都立大学) について報告された。いずれも、最新の分析手法を駆使してメカニズム解明を目指した内容であり、得るところが多かった。
(富士通研究所 橋本 薫)

2D1 : 信頼性・評価・解析技術Ⅰ
   ビルドアップ配線基板の微細化は著しく、パッケージ基板ではL/S=20/20 umと微細化が進んでいる。日本CMKから絶縁材に含まれる臭素イオンを抑えることによりHAST条件でも絶縁性を確保できるとの報告があった。宇都宮大学からエッチング時に残留する微小な塩化鉄等によるマイグレーション発生過程を、水晶振動子の周波数変動と交流インピーダンス法で評価する手法が紹介された。JIEPの加速寿命試験法検討研究会からHAST試験の温度、湿度などによる加速係数の試験結果が報告された。住友3Mから接着材の発生する蒸気圧と耐リフロー性の考察結果が示された。会場は一杯になるほど多くの聴講者が集まり、基板の微細化に伴う信頼性問題や評価手法への関心の高さが伺われた。
(東芝 須藤俊夫)

2D2 : 信頼性・評価・解析技術Ⅱ
   本セッションの主な内容はエレクトロニクス実装における信頼性などを評価・設計するためのシミュレーション技術に関するものである。特に高密度実装の詳細構造を注目した評価結果および落下などのような動的荷重を受ける部品の評価および試験方法などが取り上げられている。その中にPbフリーはんだBGA接続部の衝撃信頼性設計を行うために開発された衝撃曲げ試験方法およびPbフリーはんだの耐衝撃界面強度の定量的な評価結果について報告された。また、落下衝撃試験のばらつきの問題を解決するために点接触式落下試験法の開発および落下衝撃試験結果に関する報告も行われた。シミュレーション手法を用いてアンダーフィル封止構造の応力解析および信頼性評価に関して2件の発表が行われた。まず、2段階解析技術を用いてアンダーフィル樹脂とチップ界面に対するアンダーフィル樹脂内に含有するフィラーのミクロ構造の影響に評価した結果が報告され、フィラー構造を考慮する必要性が確認されている。また、樹脂製インターポーザーを使用したMCMのチップの信頼性に対する実装構造(チップ厚さとインターポーザー厚さ) の影響について考察した報告がされ、信頼設計の可能性を示唆された。また、超音波顕微鏡による非破壊評価方法を用いてFCやBGA接合界面のはく離の検出結果などに関する報告が行われた。
(横浜国立大学 于 強)

2D3 : 信頼性・評価・解析技術Ⅲ
   本セッションでは、デバイスの加工技術、評価技術、高速伝送など幅広い技術発表があった。阪大の安田氏から薄層チップをレーザで貫通孔加工するときの熱伝導解析の講演があった。紫外レーザで損傷の少ない加工ができそうである。今後、実際の加工形状との比較が重要である。日立建機ファインテック竹内氏から水没させる必要のない超音波検査方法の提案があった。特殊な資料ケースに収納することでインライン検査が可能となる。新光電気工業北島氏はリードフレームの打ち抜き加工をFEM解析し、アスペクト比と押さえ圧による製品の加工精度を明らかにした。解析結果をうまくプロセスに繋げている。また、日立製作所の長谷部氏はSi異方性エッチングを利用した狭ピッチ多ピン対応のプローブカードについて講演した。プローブカードは前日の[MEMS]のセッションでも多数発表があり、繰り返しコンタクト性や電極パッドへのダメージなど活発な議論があった。最後の講演は日立製作所の鈴木氏から導体の表面粗さを平滑にして導体損失を低減した配線基板の講演があった。導体の表面粗さは密着強度に重要な因子であるが、その両立を図り低誘電損失材料と組み合わせて製品化を実現している。
(東芝 齊藤雅之)

2D4 : 設計
   電気特性解析に関する発表3件とクリ-ンル-ム設計に関する発表1件があった。以下に各発表の概要を記す。
①ボ-ドへのIC-PKG実装における、電源/GND間へのキャパシタの最適配置を如何にすべきかを、デバイスの動作状態と搭載位置および電源/GND層のパタ-ン等を考慮し、シミュレ-ション解析により明確にした。
②高速信号伝送におけるクロスト-クノイズ低減の一手法としシフテッド・スタックト・ペアライン構造を提唱し、種々のシミュレ-ション解析により、同配線の各種構造設計におけるその有効範囲とレベルを明確にした。
③配線板上に実装したLSI-PKGを天板と側板で覆い、冷却効率を高め同時に放射ノイズを低減する構造を提唱し、その有効性をシミュレ-ション解析するとともに、その結果と良く一致する近似式を、導波管理論を基礎にし導出した。
④ビルドアップ配線板の高密度化に対し、製造歩留り上昇には、製造環境のクリ-ン度アップが必須である。従来の既存クリ-ンル-ムに対しロ-カルリタ-ン方式を活用し、施工コストとランニングコストを抑制したクリ-ン度アップ設計手法を提唱し、その有効性を実際に実行し検証した。
(ウェイスティー 福岡義孝)


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