MES2021開催にあたって

一般社団法人エレクトロニクス実装学会
MES2021組織委員長
齊藤 丈靖

MES2021(マイクロエレクトロニクスシンポジウム)は9月20日(月)、21日(火)、22日(水)の3日間、大阪府立大学中百舌鳥キャンパスにて開催される予定でした。COVID-19感染状況によって、当初計画の対面実施から最終的にはMES2020と同じくオンラインによる双方向ライブ配信での開催となりました。記念すべき第30回ということでMES2020用に検討した企画も持ち越し、さらにMES2021の先で実施することになりそうです。

前述のように、昨年来の状況下で対面から、ハイブリッド、オンラインと開催形態を変更する上で、事務局、論文委員会、実行委員会、ミッションフェローセッション担当者一同の緻密な努力に感謝せねばなりません。さらに、MES2021における基調講演、ミッションフェローセッション講師の方々、登壇者の方々全員に深く感謝したいと思います。特に、最新の研究発表をされる登壇者につきましては、この機会を最大限利用して頂きまして、日々の取り組みをご本人、所属元、日本・世界の産業にとってより有益に活かしていただくことを心から願っております。

今年の基調講演では、東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構の荒川泰彦 特任教授・名誉教授、国立情報学研究所 社会共有知研究センターの新井紀子 センター長・教授、TSMCジャパン株式会社の小野寺 誠 代表取締役社長、東洋紡株式会社 総合研究所 コーポレート研究所の前田郷司 主幹をお招きすることができました。光通信・実装技術、AIと人間、半導体分野の将来展開、E-Textileと人々の暮らしを便利・快適にする非常に重要な4つのテーマは今後もエレクトロニクス実装が幅広く携わる領域です。基調講演に引き続き、交流会での自由な討論・雑談が、オンライン開催のために叶わないのが甚だ残念に感じるところです。

発表論文では、プリンタブル・ウエアラブル・バイオエレクトロニクス、信頼性技術、最先端材料各3セッション、パワーエレクトロニクス関連、めっき技術、配線板、高速高周波・電磁特性技術各2セッション、カーエレクトロニクス、メカトロニクス、ヘルスケア、3次元、インターコネクト各1セッションで67件の口頭発表があります。また、JIEPミッションフェローセッションでは『203X年より先を見据えて~SDGs社会において着目される材料やビジネスとは?~』というテーマで4件の講演が行われます。いずれも大変興味深い内容であり、活発に議論されると思います。

MES2021ではオンライン開催の2回目となり、新たな試みとして従来から2点変更しております。まず、基調講演を例年の2件に対して本年は4件に増やしました。また、ミッションフェローセッションは一般講演とパラレルセッションで開催されておりましたが、本年は独立したシングルセッションに設定しまして、大変貴重なご講演を全ての参加登録者が落ち着いて拝聴できるようにしました。

昨年同様、MES2021の運営に際して、従来の良い所はできるだけ維持しつつ、適切に改善を進める様に知恵を絞りました。ご存じのように、他学会と比較して民間企業に所属する会員比率の高さがJIEPの大きな特徴です、それは即ち、ビジネスに直結したタイムリーな情報共有と風通しの良い組織・運営改善が学会の根底にあると思っております。今回のMESでも、現時点での直接的な課題から次世代、さらにはその先の要素技術やそのタネが多数発表されています。全ての講演・発表内容は参加された方々の一助になると確信しておりますが、MES2021にとどまらず、参加者・会員各位、特に若手の実務担当者がJIEP本体に積極的に携わっていただいて、将来のエレクトロニクス実装分野の発展に繋げていただければと存じます。今後ともご協力をお願い申しあげます。